今日は、中世にグレゴリオ聖歌などで使われていた
『教会旋法』というものを取り上げます。

これは、現代の音階のルーツともいえるものですが
20世紀に入ると、ジャズの世界でも使われるようになりました。

どのようなものなのか、早速見ていきましょう。

◆旋法とは

まずは『旋法』という言葉の意味をつかんでおきましょう。

旋法の “旋” は『旋律』を指しています。

そして旋律というのは、
『 旋(動き回る)律(音)』という意味を持ち、
『メロディ』を指しているわけです。

そのメロディを作るためのルール(法)という意味で
『旋法』という言葉が使われています。

今日取り上げる教会旋法も音を順番に並べているので
形としては音階と同じなのですが、
中世では、これ自体がメロディを作るルールだったため
単に音階ではなく旋法と呼ぶことが一般的です。

この辺りは言葉で説明するのが難しいのですが
あえて分類するなら、

  • 長音階や短音階、あるいは日本の音階などは文字通り個別の『音階』
  • これらも含めメロディを作るための様々な音の並べ方が『旋法』

ということになるでしょう。

なんとなくでも構わないので、ニュアンスの違いを知っておいてください。

◆初期の教会旋法

8世紀から13世紀頃に、基準となる旋法が作られたと言われています。

その中の代表的な4つを紹介しておきましょう。

●ドリア旋法

「レ」から始まり、「レ」で終わる旋法です。

「レ」から始まるというと、
現代の我々はニ長調やニ短調を思い浮かべますが
このドリア旋法には♯も♭もつきませんね。

ここが大きな違いです。

なお、ドリア旋法の「レ」のように、始まりであり終わりでもある音を
『終止音』と呼びますので、併せて覚えておきましょう。

●フリギア旋法

「ミ」を終止音とする旋法です。

●リディア旋法

「ファ」を終始音とする旋法です。

●ミクソリディア旋法

「ソ」を終始音とする旋法です。

ここで取り上げた4種類は『正格旋法』と呼ばれています。

これに対して『変格旋法』と呼ばれるものもあるのですが
ややこしくなるので、ここでは取り上げません。

興味のある方は、検索してみてくださいね。

◆追加された教会旋法

16世紀頃に、新たな旋法が追加されたと言われています。

それが次の2つです(こちらも正格旋法のみ取り上げます)。

●エオリア旋法

「ラ」を終始音とする旋法です。

●イオニア旋法

「ド」を終始音とする旋法です。

ここで取り上げた2つの旋法ですが、
エオリア旋法は「イ短調の自然短音階」
イオニア旋法は「ハ長調の音階」
と同じ並びですね。

つまり、教会旋法の中で生き残ったのがこの2つであり
これらを元に、後の時代の音楽が作られていったと言うことができます。

◆今日のまとめ

今日は『教会旋法(の正格旋法)』を取り上げました。

簡単に言うと、様々な終止音から成り立っている旋法ですが
長調や短調の音階を聴き慣れている私たちには
中途半端な音階に聴こえてしまう向きもあります。

しかし、中世の人たちは、
「この旋法は厳かな感じがする」
「この旋法は平和な感じがする」
など、微妙なニュアンスを感じ取っていたようです。

その実例が、グレゴリオ聖歌として現代にも生き残っていますので
改めて聴き直してみると新たな発見があるかもしれませんよ。