昨日までで3種類の短音階を見てきました。

中でも、最もよく使われるのが昨日取り上げた“旋律短音階” でしたね。

この旋律短音階の大きな特徴は、
上行と下行とで使われる音が変わるということです。

今日は、なぜそうなるのかを、
長調の音階と比較しながら探っていってみましょう。

◆長音階と短音階を比べると

今日は比較しやすいように、同じラの音が主音である
「イ長調」と「イ短調」の仕組みを調べていきます。

まず、イ長調の音階はこのようなものでしたね。

さらに、これを2つのテトラコードに分けると
音程の関係は次のようになっています。

前半、後半ともに「全音・全音・半音」という関係ですね。

では、続いてイ短調の音階も見ておきましょう。

これは旋律短音階ですね。

そして、2つのテトラコードに分けるとこうなります。

前半が「全音・半音・全音」
後半は「全音・全音・半音」という並びになっています。

ここで注目してほしいのが、後半のテトラコードです。

長調、短調ともに 「全音・全音・半音」 という並びになっていて
全く同じ音で構成されていますね。

つまり、イ長調の音階と、イ短調の旋律音階は
(上行の場合)前半が違うだけで、後半は共通しているわけです。

では、長調と短調を改めて聴き比べてみてください。

前半が違うだけで、全く別の印象になることが分かりますね。

これも音階の面白いところです。

●下行音階になると

しかし、これが下行になると話が変わってきます。

まず、長調の場合には全く問題ありません。

ところが短調の場合は…

前半が長調で、後半のドの音が出てきたときに
急に短調に変わったように聴こえるのではないでしょうか。

使われている音は、上行のときと全く同じです。

しかし下行になると、長調のように聴こえてしまうんですね。

そこで、下行の際には自然短音階を使うわけです。

これなら、普通に短調として聴こえてきますね。

上行~下行を改めて確認しておくと、こうなります。

これなら、全く違和感はありませんよね。

◆今日のまとめ

今日は、長音階と短音階の音程の関係を比較しながら
なぜ旋律短音階の上行と下行で使う音が違うのかを調べてみました。

その理由は、長音階と旋律短音階とで
共通の音が多く使われているからなんですね。

にもかかわらず、上行の場合には
明らかに印象が変わるのが面白いところですが
下行の場合には長調と短調の違いが分かりにくいので
別の音が使われています。

この辺りは理屈というより、実際の音でよく確認しておきましょう。

なお、実を言うと長調の音階にも
“自然長音階” “和声長音階” “旋律長音階” という3種類があります。

このうち、“自然長音階” がいわゆる “普通の長音階” です。

ですので、厳密に比較するならば「自然長音階と自然短音階」
「和声長音階と和声短音階」「旋律長音階と旋律短音階」という
組み合わせで調べるべきなのですが、和声長音階と旋律長音階は
頻繁に出てくるものでもありません。

ということで、一般的な長音階である自然長音階と、
一般的な短音階である旋律短音階とで理解しておけば十分でしょう。

ところで、今日は後半のテトラコードに注目しましたが、
明日は前半のテトラコードについても詳しく見ていきます。

ここにも面白いポイントが隠れているんですよ。