日常的に使う言葉の割に、意外とその違いが曖昧なのが
『テンポ』『拍子』『リズム』の3つではないでしょうか。

同じでないことは分かるものの、「何が違うの?」と聞かれると
明確に答えられる人は少ないかもしれません。

実は私も、何度か答えに窮したことがあるんです(笑)

そこで今日は、ちょっとしたコラムのような感覚で
この3つの違いを説明していきますね。

ぜひ、参考にしてみてください。

◆似ているようで違う、この3つ

改めて、『テンポ』『拍子』『リズム』がどう違うのか、
この先を読む前に、まずはご自身でも考えてみてください。

そのほうが、理解も深まりやすいと思います。

考えました?

では、先に進んでいきましょう(笑)

●テンポとは?

まず『テンポ』は、『速度そのもの』を指します。

要するに、「速いか遅いか」ということですね。

ただし、これはあくまでも “音楽用語” として使う場合に限られます。

テンポという言葉自体はイタリア語なのですが
普通にイタリア人がこの言葉を使う場合には
単純に「時間」という意味になるそうです。

つまり、英語の「タイム」に当たるわけですね。

ちょっとした雑学的な知識として覚えておくと良いでしょう。

音楽用語としてのテンポは、
『1分間に何回(何拍)打つのか』を数字で表します。

よく使われるのは『M.M.60』というような表記ですね。

これは、1分間に60回(60拍)打つということですから
1秒に1回ということになります。

この「M.M.」というのは、メトロノームの開発者である
ヨハン・ネポムク・メルツェルの名前にちなんで
「Maelzel Metronome(メルツェル・メトロノーム)」の
頭文字を取ったものです。

最近ではBPM(Beats Per Minute)が用いられる ことも多いですね。

「M.M.60」と「60BPM」は全く同じ速さを指します。

●拍子とは?

これは先週も説明しましたが、2拍子や3拍子、4拍子など
『規則的な変化の繰り返し』を指す言葉ですね。

どんな拍子も強拍と弱拍を持ち、それが規則的に繰り返されます。

この規則的な繰り返しがあるからこそ、ある種のカラーが出来上がりますので
曲の性質を決める要素の一つということもできるでしょう。

また、後述する『リズム』は、この『拍子』の中で作られていきます。

その意味では「リズムの大枠」という言い方もできるかもしれません。

●リズムとは?

この言葉は色んな意味で使われるので、特定しにくい面もあるのですが
敢えてまとめるとするなら、

『様々な長さの音符を組み合わせて作る変化』

というところでしょうか。

様々な長さの音符を組み合わせるというところがポイントではありますが、
実際には次のような単調なリズムもあります。

また、違う長さの音符を組み合わせてはいても
一定したリズムもあります。

もちろん、よりランダムに組み合わさったリズムもありますね。

今、3つの例を挙げましたが、
これら全てを「リズム」という言葉で表すことができます。

さらにいえば、「3拍子のリズム」「4拍子のリズム」など
『拍子をどう表現するか?』ということも
この「リズム」という言葉で表すこともありますので
かなり守備範囲は広いということができます。

ちなみに、日本では「リズム」が『律動』と訳されます。

「律」というのは「規則的」という意味を持っていますから
「律動」という言葉は「リズム」よりも「拍子」に近いかもしれません。

ただ、この言葉の裏側には『躍動感』が隠れていて
この『躍動感』こそが、リズムの本質といえる氣もします。

例えば、「こんにちは」という挨拶でも
明るく言うのか、暗く言うのかによって印象は大きく変わりますよね。

あるいは、明るい場合でも弾むように言うのか、落ち着いて言うのかによっても
印象は変わってきます。

また暗い場合でも、平坦に言うのか、吐き捨てるように言うのかで
やはり印象は変わってくるものです。

リズムも同様で、同じ長さの音符が続いても、変化に富んだ音形であっても、
それをどう感じ、どう表すかで印象は大きく変わります。

そこが、リズムのいちばん大切なポイントかも知れませんね。

●リズムが速い?

まだテンポと拍子、リズムの違いが曖昧な時期に
「リズムが速い」という表現をする人がいますが、これは間違いですね。

「速いか遅いか」というのは「テンポ」であり「リズム」ではありません。

「リズム」を表す場合には「細かい」というほうが正確です。

また、こんな質問を受けたこともあります。

「16分音符って、メトロノームでいくつくらいですか?」

これも質問自体がズレていますね。

M.M.60での16分音符もあればM.M.208での16分音符もあるので
それを単純に数値化することはできません。

ただし、「4分音符がM.M.40の場合、16分音符はいくつになりますか?」
という質問であれば、答えることができます。

16分音符は4分音符の4分の1の長さ、つまり4倍の速さとなりますから、
「4分音符がM.M.40なら、16分音符はM.M.160」ということができます。

細かいことですが、できるだけ正確に意味をつかんでおくようにしましょう。

◆今日のまとめ

『テンポ』と『拍子』、そして『リズム』についてお話しましたが、
いかがでしたか?

特に『リズム』は意味するところが広いので
混乱してしまうこともあるかもしれませんが
なるべくスッキリと整理しておいてください。

こういった言葉の分類がしっかりできてくると
音楽の理解も深まりやすくなってきますからね。