これまでの【上達のヒント】は、先週で一つの区切りをつけましたので
今日からしばらくは【ギタリストのための音楽理論】として
楽典の基本をできる限り分かりやすくお伝えしていきたいと思います。

楽譜を読むことに苦手意識をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

その第1回となる今日は、このテーマをお伝えいたします。

音楽の素材

音楽に取り組む、もしくは楽器を演奏するというと
すぐに “楽器の弾き方” に目が行きがちですが、
その前に、まずは音楽を構成する『素材』について考えてみましょう。

「音楽の素材って、そりゃ音でしょ?」

と思われる方も多いと思いますが、実はその前に
とても重要な素材が存在しているのです。

それが何かというと…

静寂

そう、【静寂】なんですね。

下記の文章をご覧ください。

これは、1971年に岩波文庫から発刊された
芥川也寸志氏著の『音楽の基礎』からの引用です。

音楽が存在するためには、まずある程度の静かな環境を必要とする。

これが、この本の冒頭にいきなり出てくるんですね。

そして、さらにこう続きます。

たとえば、鐘もしくはそれに類似する音が鳴り響いているなかで、鐘の音を素材とした音楽を演奏しても、その音は環境に同化してしまうので、音楽としては聞こえない。ちょうど、赤い紙に赤色のクレヨンで絵を描こうとするのと同じである。

この一節を読んだときに、もうすごく衝撃を受けたことを思い出します。

で、今読んでみても、【静寂】が音楽の素材であるということは
物理的にも心理的にも、とても重要だと感じます。

実際、騒々しい中では音楽を鑑賞することも難しいですし
練習するにしても集中しづらいですよね。

できる限り静かな環境があるほうが望ましいのは間違いありません。

ときに、物理的には騒々しい場所でも集中できることはありますが
それは周囲の音を遮断して、心理的な静寂を作っているとも言えます。

となると、やはり静寂は重要な素材ということになりますね。

音をよく観察し、理解し、味わうためには静寂が欠かせません。

ですので、音楽に取り組むときには意識的に静寂を作るということも
忘れてはいけないポイントと言えそうですね。

(つづく)

今日ご紹介した『音楽の基礎』は、現在も販売されています。
ご興味のある方は、ぜひお読みください。