ギタリスト 浜野茂樹

432Hzと444Hzに宿る“3・6・9”の法則──音が示す宇宙の秩序と調和

◆基準音は“世界の軸”

今回は大袈裟なタイトルで、人によってはぶっ飛んだ内容だと感じられるかもしれませんが、最近氣になっている周波数についてお話していきます。

音楽は「A(ラ)」という一点を基準に成り立っています。

ピアノもギターもオーケストラも、すべてこの音を基準に調律されます。

現在の基準音は A4=440Hz

しかし、442Hzを基準音として採用しているプロのオーケストラや演奏家も少なくありません。これは440Hzよりも華やかな響きを求めてのことです。

さらに最近では、ほんのわずかに低い432Hzや、少し高い444Hzを採用する演奏家も増えています。

いずれも「たった数Hzの違い」です。

しかし、この「たった数Hzの違い」が、音の響きだけでなく感じる世界そのものまで変えてしまうもの

つまりそれは単なる音程の違いではなく、どんな世界に共鳴するかという意識の選択とも言えることなのです。


目次


◆440Hz-現代の標準ピッチ

現在の標準ピッチ「A=440Hz」は、1939年にロンドンで開かれた国際会議で定められました。

それ以前は国や地域によって基準音が異なり、A=380HzやA=480Hzなども使われていたようです。

さらに1955年には、国際標準化機構(ISO)によってISO 16として標準化され、現在も楽器の調律や音響の基準となっています。

では、なぜ440Hzが基準として採用されたのか?

それは、上記よりもさらに100年以上遡った1834年にドイツのヨハン・シュパイプラーという物理学者が提唱した説が元となっているようです。

シュパイプラー曰く、「人間の耳にもっとも自然に聞こえる周波数であり、尚且つ歌いやすくて楽器にも無理のない高さ」とのこと。

これには科学的根拠もあるとされています。

また、基準音が地域などによってまちまちというのは演奏会を行う上でも不便であり、楽器製造などの音楽産業や音楽教育の領域でも“共通のものさし”ができたことは、実用的な意味があったと言えるでしょう。

◆442Hz-事実上の主流?

440Hzが基準とされている一方で、「A=442Hz」を採用しているオーケストラや演奏家も少なくありません。

これは上にも書いた通り、440Hzよりも“華やかに聴こえる”という理由から。

響きが明るくなり、音の輪郭もハッキリするため、日本やヨーロッパで広く採用されています。

アメリカでは440Hzを採用している演奏団体が多いとも言われていますが、442Hzを取り入れているところも少なからずあるようです。

となると、440Hzが世界基準とされてはいますが、事実上の主流は442Hzと言って良いのかもしれません。

◆432Hz-癒しの周波数

では、「A=432Hz」がどこから出てきたのかというと、これはいわゆるスピリチュアル的な文脈からです。

「癒しの周波数」と呼ばれることもあり、ヒーリング音楽や瞑想音楽などに多く使われています。

実際に癒し効果があるのか、科学的に証明されているわけではありませんが、440Hzよりも低いので柔らかい印象を受けることは確かでしょう。

440Hzが基準となるまでは432Hzを採用していた演奏者が多かったという説もあり、古楽器や民族音楽を研究している人もこの高さを好む傾向が強いようです。

また音楽史の中では、19世紀を代表するイタリアの作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディがこの432Hzを強く推奨していたと言われていて、1884年にはイタリア政府に対して432Hzを標準ピッチとして採用するように働きかけたという記録も残っています。

もしかすると、1834年のシュパイプラーの提言に何からの危機感を覚えていたのかもしれません。

ヴェルディによると、「432Hzこそが自然のラ音(A)」であり、最も自然と調和し人間の心身に優しい音高だと考えていたようですね。

さらにいうと、ヴァイオリンの歴史的銘器であるストラディバリウスも432Hzで調律したときに最もよく響くように設計されているとのことです。

となると、スピ系の文脈とは関係なく19世紀辺りまでは432Hzを好む人、そして耳にしていた人が多かったとも言えそうです。

ちなみに私も最近はこの「A=432Hz」を採用しています。

◆444Hz-ソルフェジオ周波数

もう一つ、最近採用する人も増えているのが「A=444Hz」。

これも“ソルフェジオ周波数”というスピ系の文脈で語られることの多いものです。

ソルフェジオ周波数は古代から伝わる特定の数値をもつ周波数群で、音楽やヒーリングにおいて特別な意味や効果があると信じられているもの。

代表的なものとして174Hz、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz、963Hzといった周波数があり、それぞれが心身や精神の特定の効果と結びつけられています。

と、これをみると「444Hz」なんて出てこないじゃないかと思われるでしょうが、この中にある528Hzというのが「ド」の音であり、「ド」をこの高さにするには平均律の場合「ラ」は444Hzとなるのです(純正率の場合は「ラ」が440Hzになる)。

ソルフェジオ周波数の中でも528Hzは“愛の周波数”とか“奇跡の周波数”と呼ばれ特に注目されていて、そのためにこの528Hzの「ド」を導く444Hzを採用する人も多いということなんですね。

また、スピ的な文脈を抜きにしても「442Hz以上に華やかな響き」を求めて444Hzを採用する演奏家や演奏団体も少なくありません。

特に録音エンジニアの間でこの444Hzが好まれるという話もありますね。

私も432Hzを採用する前は長らく444Hzで演奏していました。

◆周波数が持つ“規則性”

と、ここまで代表的な周波数についてお話してきましたが、面白いのはここからです。

これまで基準音として示したきたのは「A4」という音。

「A」は「ラ」の音を示しているのですが、「ラ」と言ってもいろんな高さの音があります。

人間の聴覚で捉えられる音、事実上音楽作品で使われる音は「A0」から「A5」までなんですね。

で、「A4=432Hz」とした場合の「A0」から「A5」の周波数は次の通りとなります。

ラの高さ周波数
A027
A154
A2108
A3216
A4432
A5864

さて、これらの数字を見て規則性が見つけられるでしょうか。

各周波数を桁毎に足すと次のようになります。

ラの高さ周波数周波数の和
A0272+7=99
A1545+4=99
A21081+0+8=99
A32162+1+6=99
A44324+3+2=99
A58648+6+4=18 1+8=99

このように周波数を一桁になるように足すと、全て「9」になるのです。

では、440Hzの場合はどうなるかというと、

ラの高さ周波数周波数の和
A027.52+7+5=14 1+4=55
A1555+5=10 1+0=11
A21101+1+0=22
A32202+2+0=44
A44404+4+0=88
A58808+8+0=16 1+6=77

とバラバラになります。

続いて、442Hzの場合は、

ラの高さ周波数周波数の和
A027.6252+7+6+2+5=22 2+2=44
A155.255+5+2+5=17 1+7=88
A2110.51+1+0+5=77
A32212+2+1=55
A44424+4+2=10 1+0=11
A58848+8+4=20 2+0=22

と、これもバラバラになってしまいます。

じゃあ、444Hzならどうなるのかというと、

ラの高さ周波数周波数の和
A027.752+7+7+5=21 2+1=33
A155.55+5+5=15 1+5=66
A21111+1+1=33
A32222+2+2=66
A44444+4+4=12 1+2=33
A58888+8+8=242+4=6 6

と、周波数の桁ごとの和は3と6が交互に表れます。

「だからどうした」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この規則性(調和)があるかどうかは大きな違いだと感じられるのです。

◆数秘術で見ると

数秘術とか数秘学と呼ばれる、数字に意味を見出す占術があります。

これもスピ系ではあるのですが、数字の規則性を見ていくとかなり面白いものです。

そして、その数秘術によると「9」は完成・統合・宇宙意識を象徴する数とされています。

また「3」は創造、「6」は調和を意味するとされているのです。

さらに言うと、かの発明家であり人類史上稀に見る天才だったと言われるニコラ・テスラが「もし3・6・9の意味を理解すれば、宇宙の秘密を理解するだろう」と語ったとも言われています。

まぁ、これは多少の拡大解釈が入っているのかもしれませんが、「369」の3つの数字に何らかの意味があると感じることは自然なのではないでしょうか。

また日本ではこの「369」を「ミロク(=弥勒菩薩)」と読む人もいます。

そして、432Hzや444Hzを採用したときにこの「369」が出現し、440Hzや442Hzを採用した場合には規則性がないということに何らかの意味を感じるというのは、そこまで荒唐無稽なことでもないのではないでしょうか。

もちろん、「そんなのは偶々」とか、「こじつけ」と考えることも自由です。

また、現代でいう“科学的根拠”も乏しいかもしれません。

ただ、“直感的”に何らかの意味を感じるのであれば、これは無視すべきではないのではないか、と個人的には思います。

◆聴いた感想から言うと

432Hzに慣れてから440Hzの音楽を聴くと、非常に“人工的な違和感”を覚えます。

無機質な冷たさすら感じることもあります。

もちろんそれは“主観的”で“直感的”な感想であり、いわゆるエビデンスを求められたら決定的な理由を示すことはできません。

しかしこの主観や直感は無視すべきではないとも思うのです。

また、440Hzと444Hzにも大きな違いを感じます。

私が444Hzを採用したとき、「明らかに440Hzよりも疲れにくい」と感じたことは鮮明に記憶として残っています。

さらに432Hzを採用したときには、何とも言えない安らぎみたいなものを感じたことも確かです。

「そんなのは単なる主観であり個人的な感想」と言われればその通りですが、その一方で「何か見過ごしてはいけない意味がある」とも感じるのです。

繰り返しになりますが、数秘術では、

  • 3=創造
  • 6=調和
  • 9=完成 を意味します。

この3つが揃うことで、創造 → 調和 → 完成という宇宙的サイクルが成立するとされているのです。

432Hzと444Hzの共鳴関係は、まさにこの宇宙の創造プロセスそのものを表しているようです。

これを“荒唐無稽な妄想”と断じることは簡単かもしれませんが、そこに意味を見出す人にとっては重要なことなのではないでしょうか?

◆音に込められた意識-どんな世界に共鳴するか

これらを踏まえると、どの基準音でチューニングするかは、単なる技術的な選択ではありません。

それは、自分がどんな世界に同調したいかという意識の選択です。

  • 432Hzの音は、内面の静けさや瞑想的な深さをもたらす
  • 444Hzの音は、明るさや上昇エネルギーを感じさせる

あくまでも主観的なものかもしれませんが、どちらも“調和”を感じさせます。

大切なのは、自分の心と体がどの周波数に心地よく共鳴するかを感じ取ることなのではないでしょうか。

◆まとめ:音は数であり、数は光であり、光は意識である

ちょっと飛躍して感じられるかもしれませんが、音は単なる振動ではなく、数の秩序・光のリズム・意識の表現と言って良いと思います。。

432Hzも444Hzも、宇宙の法則を異なる角度から映し出す“音の鏡”と言えるのではないでしょうか。

もちろん440Hzや442Hzが必ずしも悪いと言う話ではありません。

そこに魅力を感じるのなら、それを採用して良いでしょう。

また432Hzや444Hzに明確な科学的根拠がないと言うのも事実ではあります。

しかしそこに魅力を感じる人や無視できない人がいることも、もう一方の事実なのです。

ちなみに、水に432Hzの音を聴かせると綺麗な結晶を描き、440Hzの音を聴かせると結晶が崩れてしまうという話もあります。

人間の身体の約70%が水分だと言われていますから、健康にも影響がないとは言い切れないかもしれません。

どのピッチを選ぶかは、どんな世界に生きたいかを決める行為と言うと大袈裟でしょうか。

音を通して世界と調和すること──それが、音楽家に与えられた最も美しい使命なのかもしれませんね。

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